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火の見やぐら [散歩道]

パパ:散歩の帰り道に火の見やぐらがあったの、覚えてる?いや、今もあるけれどね。
ポポ:ええ、あそこはいろんな犬の情報がつかめるところね。ごみの収集所が近いし、
  なんてったっておしっこのひっかけがいがあるところね。
パパ:どんな情報が得られるわけ?たとえば・・
ポポ:まず、体の大きさ、性別、相性なんか。テリトリーの安全度が分かるのね。
パパ:あそこでにおいかいでる時間って結構長いよね。そして最後には自分でも
  ちょろってひっかけていく。
ポポ:私が来たってサインね。
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<こんな写真をポポは怒るかな?>
パパ:お父さん、小学6年のとき、あの火の見やぐらに上ったんだよ。
ポポ:えっ、上ったの?危ない。
パパ:そう、いまは子供が登れないように足場を看板でふさいじゃってるけど、
  昔は登れたんだよ。いつか上ってみたいって思ってたんだ。それで、夕方、
  暗くなるのを待って決行したんだ。
ポポ:ひとりで?
パパ:そう。誰にも知られたくなかったんだ。途中で怖くなって、もうだめだと思ったら
  あきらめることにしてた。意気地なしだからね。
ポポ:落ちたら死んじゃうでしょ?
パパ:そう、でもその時は死ぬなんて思っていなかった。やぐらは3階の鉄筋構造
  でできていて、1階から2階への梯子の間に手すりがない。これが一番怖かった。
  あとはしっかりつかまっていれば落ちないからね。3つ目の梯子を上りきると、
  つり鐘のある最上階にたどり着く。やったーって、いい気分だった。
  小さな町だけど、夜景がきれいだったのを覚えている。自信がついたのか、
  降りるときはあまりこわくなかった。手すりがないところも慎重に渡れた。
ポポ:いけない子供だね。
パパ:ほんと。ところがほぼこの同時期にぼくは2度も、死にかけている。
ポポ:2度も?どういうこと?
パパ: 一度は夏休み中。川を泳いで渡ろうとしている最中に左足が痙攣した。
  水泳は得意だったんだけど、さすがに痙攣じゃ泳げない。
ポポ:誰かに助けられたの?
パパ:誰も気づかなかった。流されながら、必死で足の親指をつかんで、ギュッと、
  力いっぱいひっぱって。それでまた足が動かせるようになったんだ。
ポポ:すごい。
パパ:だいぶ流されたけど岸までたどり着いて、なるべく平静を装って戻った。
  当時は川がプールみたいなもんで、人がたくさんいたけど、だれにも気づかれ
  なかった。これが死にかけた僕のベストワン。
ポポ:なんか自慢してない? じゃ、もう一回は?
パパ:うん、あと一回はオートバイとの接触事故。5年生だった。これは作文に書いた。
  横断歩道でよく確かめずにわたり始めて、気がついたら倒れていた。
  腕をちょっとすりむいて血が出ていたけれど、自分の不注意が原因だったから、
  はずかしくて、オートバイのおじさんに「大丈夫か」って聞かれても、
  「大丈夫」って答えて、すぐ現場を離れた。家の近くだったんだ。
ポポ:分かる。家に帰りたかったのね。
パパ:家に帰って、母の顔を見たら、安心して急に体が痛くなってね。高熱が出て、
  3日くらい寝ていた。
  後で分かったけど、前歯が4本削れていた。
ポポ:ひゃあ、痛そう!
パパ:そりゃ痛かった。というわけで、火の見櫓の一件をあわせると、計3回、危ない、
  いやひょとしたら、死んでたかもしれないことが連続してた。よく死なずにすんだよ。
ポポ:運がよかったんだよ。
パパ:そうだね。感謝しなきゃね。
ポポ:そう感謝しなきゃ。それにしてもバカな子ね。
パパ:まったく。今考えると、恐ろしくばかな子供だった。
<やれやれ。ベストワンっておかしくないですかね。ワーストワンに訂正します>
タグ:散歩道
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